偉大なミュージシャンを取り上げた映画は、いくつもありますが、今回は、ビートルズの楽曲がふんだんに登場しながら、ビートルズ自身は出てこないというちょっと異色の映画、『イエスタデイ』を紹介します。
世界からビートルズが消えたなら
世界中が12秒間停電した瞬間、ビートルズが世界から消えたました。
人々の記憶からも、彼らが残した曲も、レコードも、何もかも。
売れないミュージシャンのジャックの記憶以外からは・・・。
ジャックは幼馴染のエリーの献身的なサポートに支えられて、ミュージシャンとしての夢を追い求めていたが、流石に潮時という時に、このハプニングに見舞われます。
ジャックは、ビートルズの曲を自分の曲として世に出してしまいます。
一抹の罪悪感と、世界からビートルズが消えたなら・・・そんな、もったいない世界は許せないという気持ちで。
ビートルズの曲は、時代を超えてもその輝きを失わないません。
ジャックは、すい星のように現れ、人々は彼が歌う曲に熱狂し、世界のミュージシャンの頂点に手が届くところへ駆けあがります。
エドシーランをヒントに製作

ダニー・ボイル監督(左)とエド・シーラン(右)
売れないミュージシャンが世界の頂点に輝くというサクセスストーリーとその裏側にあるロマンスは、エドシーランにヒントを得たそうです。
なんと、そのエドシーランが本人役で登場し、ジャックが歌う曲を聞いて、その才能に脱帽するというところも、エドシーランがビートルズに対して、敬意を払っていることを表しています。
ジャックが歌うビートルズの曲はどれもこれもヒットチャートを総なめにします。
ビートルズの曲は、時空を超えるだけではなく、誰が歌っても素晴らしいということを伝えています。
そんな中で、ジャックが、世界のミュージシャンの頂点よりも大切にしたものとは。
ビートルズの素晴らしさを伝えると共に、自分にとって最も大切なものは何のか、という問いを投げかけてくれる映画に仕上がっています。
追記
『イエスタデイ』が公開された前後には、ミュージシャンに関する映画の公開が相次ぎました。
Queenを取り上げた『ボヘミアンラプソディー』、レディーガガが登場する『アリー/スター誕生』、エルトンジョンを取り上げた『ロケットマン』。
そんな中で、『イエスタデイ』は、ビートルズ本人の自伝とはかけはなれた、ビートルズが消えた世界を通して、ビートルズの偉大さをさらに際立たせています。
なお、ビートルズの曲を他の人が世に出すという設定については、『僕はビートルズ(講談社・モーニング)』という漫画も思い出しました。
投稿者のこだわり

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「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。
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