『TAKING CHANCE/戦場のおくりびと』/アメリカの強さと優しさ

フィルム・ショーケース

イラク自由作戦(Operation Iraqi Freedom)で命を落としたチャンス・フェルプス一等兵(Private)の遺体(Remains)を家族の元に送り届けるシュトローブル中佐(Colonel)の移送勤務の全容をドキュメンタリータッチで描いた実話に基づく作品。

砂漠の嵐作戦(Operation Desert Storm)に従軍したシュトローブルは、内勤希望が通り家族と平穏は日々を送っていた。

国防省が発表するイラク自由作戦の死亡者リスト(Causality List)を見てそこに知人の名前がないことを祈る日々の中で、自分と出身地が同じチャンス・フェルプスを家族の元に届ける任務に志願する。

戦争の是非を問う場面は一切なく、アメリカという国が戦死者に対して抱く敬意が全編を流れる。

戦地から遺体収容への移送、時遺体を洗浄する人、遺品を磨く人、戦場で敗れた制服を修復する人。…同じ軍人としての畏敬の念が溢れる。

遺体収容所を出発してチャンスの両親の元への移送が始まる。交通手段の乗り換えの度に確認作業をした上で、礼節(Dignity、Respect、Honer)を込めて敬礼をするシュトローブルの軍服姿や、棺にかけれれた星条旗を見て、周囲の人々は戦死者の移送であることを理解し、アメリカ国民のひとりとして戦死者に対して敬意をはらう。

シュトローブルに座席のアップグレードを申し出る空港カウンター職員、脱帽して胸に手をあててチャンスの遺体を見送る地上職員、大事にしている十字架のペンダントヘッドを手渡すCA、移送車両を先導し通りライトをつけて車列を作る通りすがりのドライバー達。…国への忠節を尽くして命を捧げた人への敬意を掲げてまとまるアメリカの力を感じる。

チャンスの死は、チャンスと共に戦場で戦った人や、戦場に行かない内勤勤務を選んだシュトローブルにも、自責の念として覆いかかるが、「自分を責めるな。あなた達がチャンスの証人だ。証人が消えたら故人も消える。」と退役軍人が声をかける。

戦死者という犠牲をはらう軍事作戦を展開するアメリカ。その裏側には、たとえ見ず知らずの人であっても、戦死者や家族の想いを自分のことのように想像して、おたがいが寄り添い支え合うという繊細で優しいアメリカも同居している。

“When one falls, another brings him home.” —誰かが倒れたら、他の誰かが家族の元へ届ける。

チャンスは2004年、20歳という若さでその生涯に幕を閉じた。

投稿者のこだわり

Takashi
Takashi
「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。

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