2020年正月。
お屠蘇を飲みながら、映画『日日是好日』を観ました。
お正月の「初釜」のシーンもあって、正月に観るのには相応しい映画でした。
茶道という「形」の中に、日本らしい美しさや豊かさが感じられる映画です。
袱紗(ふくさ)、茶筅(ちゃせん)、棗(なつめ)、柄杓(ひしゃく)などを使いこなすシーンは、ビジネスで様々なツールを使いこなすシーンにもつながります。
「習うより慣れろ。」
「頭でっかちになってはだめ。自分の体や手が覚えた所作の中に、後から心が入っていく。」
とても深い言葉です。
先人の知恵が詰まった「形」は、「成功確率を上げるための方程式」のように思えました。
五感を総動員して成長する
お茶では四季を節目として、掛け軸も、お菓子も、そしてお点前の作法すらも変えていきます。
季節の節目ごとにリセットする仕組みを組み込んで、あえて緊張感を作り出すことで、漫然とした日々を送らないようにしています。
日日緊張した時間を送る中で「先生の所作には丸みがある」という具合に、自分が関わる周囲の人達との立ち位置を見つめ直していきます。
そして、柄杓から注ぐお湯の音はとろとろだけど水の音はさらさらという違いすらも五感を総動員して理解していきます。
静の世界にダイナミックな動があります。
私自身は30年以上もサラリーマン生活をしていますが、漫然と時間を送ってきたと反省されられました。
先人の知恵を活かす
「満作の花」は、一年で一番寒いときに「まず咲く花」である。
立春に向けて飾る掛け軸の「不苦者有知(不苦と思わざる者は知あり)」は、「福は内」と読む。
そして、茶道に秘められた最大の知恵は、「一期一会」。
千利休が生きた時代は、今日元気に会った人とは、次にはもう会えないかもしれないという時代。
だからこそ、一席一席のお点前に真剣勝負の緊迫感が宿ります。
なんと研ぎ澄まされた時間なのでしょう。
ここからが本当のはじまり
茶道を通して学ぶもの。
それは「すぐにわかるもの」と「すぐにはわからないもの」があるということ。
「すぐにわかるもの」は、一度通り過ぎてしまえばそれでいい。
でも、「すぐにわからないもの」は、長い時間をかけて少しずつ理解していけばいい。
何年もかけてお茶を学ぶことの意義は、人生やビジネスにおいてもあてはまります。
この映画でお茶の先生を演じる樹木希林が生徒の黒木華に言います。
「そろそろ貴方も教える方に回ったら。教えることで教わることがたくさんあります。」
この言葉は、サラリーマン人生の終盤を迎える私に響きました。
若手のサポートに回ることの大切さ。
そこから自分自身が学ぶことがあるということ。
そして、次のフェーズに向けた人生の成長へとシフトしていくべきということ。
私は、お花(小原流)の勉強もしています。
書道も5年間ほど勉強して五段になりました。
日本の作法の「形」には、先人の知恵や教えがたくさん込められています。
最初は「形」から入って、次第に、「形」の中に「心」を入れていくということが共通しています。
このことは、まずは「形」としてMBA的な所作をマスターして、次に、実際のビジネスに「心」を込めて役立てていくということにもつながるように思えました。
※定年後に茶道を学べば「自分が書いた掛け軸と自分が活けた花を使ってお点前ができる。」そんな日が来ることを楽しみにしています。
※森下典子さんの原作、日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)もとても素敵です。是非合わせてどうぞ。
※写真は、Hatena Blogより。
投稿者のこだわり

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「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。
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