『彼らが本気で編むときは、』/立ち向かう人の心の美しさ

フィルム・ショーケース

諸外国に比べてLGBTに対する理解が低いと思われる日本において、「Close-knit」という切り口から、私たちの身の回りのテーマとして、性的マイノリティについて前向きに投げかけてくれる作品。

Close-knitとは、Close-knit Familyのような使われ方をする英語で、「しっかりとした結びつき」という意味。

トランスジェンダーのリンコ(生田斗真)、育児放棄された少女トモ(柿原りんか)、リンコの恋人でトモの叔父のマキオ(桐谷健太)の3人が、家族のようなつながり(Close-knit)を作っていく。

3人のつながりは、男であるか、女であるか、親であるか、子であるか・・・という前に、人と人との関係として描かれている。

社会からの偏見や、言われない差別に対して、リンコは悔しい気持ちを編み物(knitting)に込めることで落ち着かせていく。(しっかりとした網目という言葉もClose-knit)

心優しいリンコの姿に、トモとマキオまでもが編み物に加わり、3人は、人間の煩悩の数である108個の「ある作品」を編み上げる。

お互いに寄り添いながら心のつながりを強める3人の周囲に、様々な想いを抱く人物を登場させて、性的マイノリティに悩む人と社会との関係を描くことで、「どうあるべきか」という正論を押し付けるのではなく、「今の自分は誰の立場に近いのだろうか」と、自分自身の内面を見つめさせてくれる。

追記

性同一性障害の女性リンコを演じる生田斗真の演技が素晴らしい。

肩幅もがっしりしていて、掌も大きいという容姿を押し隠すかのように、小首をかしげたり、片膝を軽く曲げて佇む姿などのひとつひとつの仕草に、心の中から女性として生きているリンコの優しさや美しさが溢れてくる。

投稿者のこだわり

Takashi
Takashi
「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。

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