ミシュランの星を獲得した「80/20」からブランド戦略を学ぶ

起業に向けて・学びと準備

タイでレストランを開業後、わずか4年でミシュランの星を獲得した星野早紀さんという人がいます。

星野さんがタイ人のご主人と2人でバンコクに開いたレストラン「80/20(エイティ・トゥエンティ―)」の話を、「ブランド戦略」の観点から検証してみました。

「80/20」の魅力

タイ人の夫ジョーとはカナダのフランスレストランでの修行中に合いました。
自分たちの店を開きたいと思ったときに、日本で店を開くという選択肢もありましたが、私がタイに渡った方が、私が日本人であることを武器にできると思いました。

Takashi
Takashi

すごい決断力だな…。
競争のない未開拓市場をねらうという「ブルー・オーシャン戦略」を連想するなあ…。

お店の名前は、80%のタイの食材と20%の海外の食材という意味を込めて「80/20」にしました。

Takashi
Takashi

タイの伝統料理をベースとした上で、納豆や味噌などの日本ならではの食材などもさりげなく織り込んでいるところが認められているみたい…。

豆腐や味噌も以前は国外から取り寄せていましたが、いまでは自前で作れるようになりました。ナンプラーも自家製です。発酵文化は日本もタイも共通です。自分たちで作った発酵食品を使えばユニークな味に仕上がります。

Takashi
Takashi

調味料まで自家製とは…!
ユニークの上にもユニークなOnly oneをめざすな…!

カナダ、日本、タイで学んだパティシエとしての経験を活かして、西洋料理でクリームを使う所をタイのココナツミルクで仕上げたりしています。また、和菓子とタイのデザートには似ているところもあり、それぞれを掛け合わせてみると面白いものができます。

できるだけタイの食材を使っています。それがタイの農家や漁師を支えることにつながります。また、外国人客も多いので「こんな食材がタイにはあるんだ」と知ってもらいたいです。

Takashi
Takashi

地域社会への気持ちも素晴らしい!意識が高いな…。

ブランドについてのおさらい

「ブランド」とは、その起源に遡ると、自分の家畜を区別するために焼印で印をつけたことにはじまったと言われています。

今日においてブランドの持つ役割は次のように整理されています。

  • ブランドとは他との違いで選ばれるための「識別記号」である。
    (例)喫茶店ではなく、「スタバ」に行く。
  • ブランドとは顧客の中に蓄積したイメージとしての「付加価値」である。
    (例)価格的には高くても、「iPhone」を選ぶ。
  • ブランドとは顧客が求めるものを提供する「品質保証」である。
    (例)「国産」は安心というイメージがある。

「80/20」をブランド戦略から分析する

それでは、このような役割を果たすブランドとは、どのように形成していけば良いのでしょうか?

冒頭で紹介した「80/20」は、意図したかどうかは別として、ブランド戦略の成功として評価できると思います。以下では、「80/20」をケーススタディとして見ていきます。

識別記号としてのブランドを高める

「識別記号」としてのブランドを作るということは、強いブランドを作るということです。

別な言い方をすれば、「〇〇と言えば?」と聞かれた時に最初に答えられるNo.1ブランドになるということです。

「日本で一番高い山は?」と聞かれたら誰でも答えられますが、「二番目に高い山は?」と聞かれて答えられる人は劇的に下がります。No.1とそれ以下とでは雲泥の差があるのです。(答え:北岳)

しかし、No.1ブランドといっても大きな市場でのNo.1である必要はなく、市場を切り取りライバルがいない新しい市場を作り出して、そこでNo.1になれば良いのです。

「80/20」の場合は、「タイのレストラン」という市場ではなく、「タイと海外(特に日本)のハイブリットのレストラン」というセグメントを切り出して、そこで勝負しました。

調味料も自前にするといったユニークな上にもユニークなOnly oneのポジションを切り出すことで、開業4年でミシュランの星を獲得し、この市場でのNo.1ブランドを形成したのではないでしょうか。

付加価値としてのブランドを高める

顧客は、必ずしも「価格」といった合理的に比較できるものだけで商品やサービスを選びません。

価格以外の付加価値があるブランドとして選ばれるためには、自社ならではのオリジナリティを顧客から認識してもらうことが必要です。

顧客が価格以外のブランドで選ぶ際には、その会社の「専門性」「人間性」「社会性」への共感が伴います。ロジックでは説明できないけど「とにかく好き!」という感覚かもしれません。

「80/20」のケースでは、海外の食材や自家製の調味料の使用といったユニークさに加えて、ご主人と星野さん料理人としての専門能力や技術、星野さんがタイで頑張っている人間性、タイの農家や漁師を支えるという社会性…等々が相まって、「80/20」へのブランドイメージがアップしているのではないでしょうか。

「80/20」から学ぶ

顧客の中にブランドイメージが出来上がるということを、企業側から見ると、以下のような効果が指摘できます。

  • 競合との差別化ができる。
    →指名買いをしてもらえる。
  • 価格決定権を確保できる。(高い利益率を確保できる。)
    →値引き販売する必要がない。(既にブランドの価値があり多額の広告費を必要としない。)
  • 顧客ロイヤルティが上がり長期的な売上が確保できる。
    →贔屓にしてもらえる。さらに口コミで拡げてもらえる。

私自身は、コーヒーのECビジネスをはじめたいと思っていますが、「80/20」のように、まずはNo.1になる市場を切り出して、そこでの自社の「専門性」「人間性」「社会性」という点を磨いてきちんと訴求することでお客様にファンになっていただけるようなブランド戦略を展開していきたいと思います。

<注>
この記事は、日経新聞の記事「タイでミシュランの星獲得・日本人パティシエの探求心」から、ブランド戦略としての学びになる部分をピックアップして、星野さんのキャラクタが話しているスタイルに編集しています。星野さんと私が対談したわけではありませんので念のため

※写真は、theworlds50best.comより。

投稿者のこだわり

Takashi
Takashi
「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。

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