『コーヒーが冷めないうちに』/原作にはない意外な結末

フィルム・ショーケース

川口俊和さん原作の『コーヒーが冷めないうちに』(2015年12月初版)は、2018年9月に映画化されています。

原作では、喫茶店「フニクリフニクラ」の過去に戻れる席にいる先客は白いワンピースの女となっていますが、映画では、タイムトリップしたままコーヒーが冷めてしまい戻ることができなくなった時田数(ときたかず:有村架純さん)の母(石田ゆり子さん)の幽霊になっています。

そして、映画では、主人公の時田数が過去に戻り母と会うという原作にはないエピソードに書き換わり、母が数に大切なことを教えてくれ、数の生き方が変わっていきます。

「時田家の女性だけが過去に戻るためのコーヒーを淹れることができる。しかし、自分自身のためにはそのコーヒーを淹れることができない」という設定で、どうやって数は母に会って、母が戻れなくなった真相を知ることができたのでしょうか?

<補足>
『コーヒーが冷めないうちに』のレビュー(感想)は、「心温まるストーリーに学ぶ」という別の記事として投稿しています。
本記事は、原作にはない映画版の『コーヒーが冷めないうちに』の結末をめぐる展開を紐解いています。ネタバレの内容を含んでいるため別の記事としました。

母は未来にタイプトリップしていた(ネタバレ①)

映画では、「未来にも行けるの?」という対話が出てきます。行けるけど、過去に行くのとは違って行きたい日を具体的にいつと思い浮かべることた難しいから実際にはいかないのではという対話です。

この対話が伏線となっていますが、母は未来にタイムトリップしていたのです。

具体的には、2000年8月31日に、母は数にコーヒーを淹れてもらい、その年のクリスマスイブ(2000年12月24日)にタイムトリップして将来の数に会っています。母は自分の余命があと数か月であることを知り、そのことを数に打ち明けられないまま、自分が亡くなった後の数の様子を見に行ったのです。

しかし、幼かった数は、母は自分が淹れたコーヒーで先に亡くなった父親に会いに行ったと思っていました。そして、自分が母にコーヒーを淹れたことを後悔して暮らしていきます。

数はどうやって過去に戻って母に会えたのか(ネタバレ②/タイムトリップの仕組み)

映画の結末として数は過去に戻って母に会い、母がタイムトリップから戻れなくなった真相を知ります。

過去に戻れるコーヒーを淹れることができるのは時田家の女性だけで、自分自身ではできないという制約の中で、数はどうやって過去に戻って母との再会を果たしたのでしょうか?

映画を一度見ただけでは、このタイムトリップの仕組みを理解するのは難しいと思います。
何度か見直して、以下のように紐解きました。

最大のヒントはこの映画のエンドロールの中にあります。数と、その娘のミキが、コーヒーを淹れる練習をしているシーンが現れます。その中でミキが次のように言います。

「お母さん淹れる、ミキ行く。ミキ淹れる、お母さん行く。ミキ飲んで戻ってくる。イェーイ。」

数の夫の亮太(伊藤健太郎さん)が、数を過去に戻すタイムトリップの仕組みを思いついた時に、数のお腹の中には赤ちゃんがいました。この赤ちゃんが後のミキです。3人はミキが大きくなるまで待つのです。

そしてミキが大きくなったある日、「①お母さん淹れる(数がミキにコーヒーを淹れる)、ミキ行く(亮太がこの仕組みを思いついてから決行日と決めた2019年4月11日までミキがタイムトリップして数に会う)」を実行します。

2019年4月11日にタイムトリップしたミキは、そこで「②ミキ淹れる(ミキがお母さんにコーヒーを淹れる)、お母さん行く(数が2000年12月24日にタイムトリップして数の母に会う)」をかなえます。

2000年12月24日は、2000年8月31日から数の母が将来にタイムトリップしてその年のクリスマスイブの数の様子を見に行った日です。ここで2人は再開を果たしたのです。

数は母親が冷めないうちにコーヒーを飲み干せなかったのは、当時の自分が夢でようやく会えたと思った母親を手放さずにぐずっているうちにケガをしてしまい、母親のコーヒーが冷めてしまったことを知ります。

母親は未来からやってきた数に対して、待っている大切な人に日頃から「ありがとう」「ごめんなさい」を言って毎日を後悔しないように生きるようにと伝えて、数にコーヒーを飲ませます。

2019年4月11日に戻った数は、そこから母親の教えの通りに生きていく人生を歩みます。

過去は変えられなくても、心の持ち方次第で、今から先の将来は変えていける。その変化は、たった1杯のコーヒーが冷めるまでのわずかな瞬間できる…。

「今、この瞬間から将来を変えていこう」というメッセージを伝えてくれる結末です。

投稿者のこだわり

Takashi
Takashi
「おたがいさま」という日本語が好きです。お客様と共に育つ「おたがいさまビジネス」の起業をめざします。
「早く行きたければ1人で行け。遠くまで行きたければみんなで行け。」という諺も好きです。価値観を共有する人達と力を合わせて遠くへ飛ぶことをめざします。

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